技能実習生の制度自体に問題があることも日本政府はわかっているものと思います。

本年4月から施行されている特定技能という在留資格は、労働者としての立場
で企業と契約する制度です。

今までの技能実習生の制度を保管してもっと日本で働いてもらう制度です。
その制度では日本人と同等程度の給与水準で、労働法に準拠して働くことになります。

ところがこの制度については、7月の現在までベトナムからはまだ実績がありませんでした。
それは二国間で協定が締結されていなかったからです。

日本政府はフィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴルとは
二国間協定を結んだようですが、ベトナムとはまだ協定が結べていませんでした。
なぜ二国間協定が結ばれていないのかは私なりに考えました。

技能実習生を送り出す場合は、送り出し機関という名の会社が教育と日本への渡航の手配をします。
その送り出し機関の許認可と申請書類の受理は政府機関が行います。

そのため送り出し機関を通さない制度になると国としての利権を確保することができません。
発展途上の国にとって、自国の労働力は重要な収入獲得の手段です。

一度できた制度は既得権者を生みます。そのため制度変更をする場合
今までの利権を失わないようにしたいという力が働きます。

日本政府は日本の労働者と同様の運用をしたいので、間に仲介機関が入ると
結果的に給与のピンハネのようになることから、それらの仲介者を排除したいと考えています。

しかし、ベトナム政府としては、自国民を海外に派遣するビジネスモデルは
事業としても維持をしていきたいのだろうと思います。
付加価値の高い商品が少ないベトナムにおいて、自国民が海外に出ること
による許認可のビジネスは重要な収益事業なのだと思います。

ただ、日本にわたる外国人のうち多くの人材がベトナム人で占められています。
ベトナム人労働者が加わらなければ特定技能を導入した意味は半減します。

ベトナム政府もよくわかっていて、G20で日本に渡ったベトナムのフック首相は
日本政府と会談を行い、ベトナム政府の言い分をある程度受け入れることで
二国間の協定が調印されることになりました。

記事投稿 西田

アイクラフトJPN・ベトナム株式会社(英語表記:iCRAFT JPN VIETNAM Corp.)
代表取締役 西田俊哉

高い技術力を持ち、安定・成熟した日本と発展途上であっても、若々しくエネルギーに満ち溢れたベトナム、この両国のそれぞれの力をコラボレーションすることが、両国の発展にとって意味のあるものになっていくものを考えております。ベトナムの今を、現地の生の声としてお伝えしていきます。