ベトナムでは日本の税と似たような税制はあります。
主な税は個人所得税、法人所得税、付加価値税(日本の消費税に近い)
外国契約者税、輸出入関税などがあります。

それ以外にも天然資源税、非農地使用税、環境保護税などもありますし
たばこ、酒類、マッサージ、カジノ、ゴルフなどは富裕税とでもいえる特別消費税などもあります。

独特の税習慣

ただ、私がベトナムで働いてびっくりすることがあります。

それはアパートの家賃などを現金で支払ったり、公式領収書(ベトナムでは赤領収書といいます。
理由は支払った人に渡される領収書がピンク色であることからそのように言われています)
が必要ない場合は、消費税に当たる付加価値税を取らない場合が多いことです。

現金を好むベトナム人

また、ベトナム人は現金取引を好みます。
その時には、受領したお金の領収書として公式領収書を発行しないことがあります。
なぜ現金取引を望むかというと、所得税も消費税も支払わないようにできるからです。
そのような公式取引と非公式取引を行っているのがベトナム社会です。
二重帳簿が当たり前のように行われているのです。

労働者の税金

それ以外にもベトナムで働く労働者は、900万VND(日本円で45000円程度)までは
所得税が発生しません。

工場労働者の平均的給与が3万円程度ですから、50%程度の国民(もっと多いかもしれない)は
所得税を支払っていないのではと思います。
その反面、外国人はかなりの所得税を支払っています。

税率は給与の額を段階的に税率が異なります。
金額により税率5%の金額から、5%刻みで税率が変わっていきます。
最高税率は35%の税率になり、多くの日本人駐在員は給与の一部にはその税率がかかります。

法人税は20%ですが、多くのローカル企業は二重帳簿をしていると思われますので
法人税はあまり支払っていないと思います。
法人税をたくさん支払っているのは、数少ないベトナムの大企業と外資企業が
ほとんどではないかと思います。

諸外国とのとの取引税

また、関税については外国との取引に関しての税ですので
製品の価格に転嫁されることになります。

外国契約者税というのは、ベトナムで法人税を支払わない企業がベトナムでの取引で
海外送金を受けるときに、みなし法人税やみなし消費税に当たる税金を海外送金する際に
発生する税制です。

税制による賃金格差

ベトナムでは大都市部で不動産価格が大幅に上昇しています。
そのため不動産の使用権(ベトナムでは所有権ではありません)を持っている人が
急激な賃貸料金のアップで富裕層になっています。

ところが、固定資産税などはほとんど軽微ですし、相続税などはありません。
それに加えて二重帳簿をしている人も多いので、富裕層でもそんなに税を負担しているとは言えません。
ベトナムの税収入は外資系企業や外国人駐在員頼みともいえます。

一方で外国人であってもベトナムでの所得税を支払わない人たちもいます。
問題なのは暦年で183日未満のベトナム滞在者は全世界所得になりません。

この場合、通常はベトナム役務での収入はベトナムでの所得の20%相当分が課税されることになっています。
しかし、実際に支払っている人は少ないのが実情です。

日本人の多くの場合は日本のみで所得税を払っています。
ある中国人に話を聞いたことがありますが、中国でもベトナムでも払っていないというような
回答がありました。

ベトナム政府もこのような人の所得税をどうやって回収しようかは考えているものと思います。
外国人のビザが3か月を超えて取れなくなったのはこのような事情があるからです。

記事投稿 西田

アイクラフトJPN・ベトナム株式会社(英語表記:iCRAFT JPN VIETNAM Corp.)代表取締役 西田俊哉
高い技術力を持ち、安定・成熟した日本と発展途上であっても、若々しくエネルギーに満ち溢れたベトナム
この両国のそれぞれの力をコラボレーションすることが、両国の発展にとって意味のあるものになっていくものを考えております。
ベトナムの今を、現地の生の声としてお伝えしていきます。