「不動産使用権所有者の思惑 不動産賃貸の現場から」
このような話から入ると多くの人は
ベトナム(ホーチミン市)発展と明るい未来を想像するでしょう。

しかし急激な発展は思わぬ弊害を生むこともあります。

不動産事業も私の会社の業務なのですが
ホーチミン市の中心部で開業している日系のレストラン経営者がつらい思いをしている実態があります。

ベトナムでは家賃を支払って大家さんから不動産物件を借ります。
3年から5年程度の契約期間でレストラン物件を借ります。
内装工事にはそれなりの費用を支払ってオープンします。

人気店になるケースもありますが
必ずしもうまくいかないのはどこでも同じです。
うまくいかない店は早めに契約を終了しますが
預託金(デポジット)として家賃の6か月分も前払いしているケースも多く
借主は開業時にかなりのお金を使っています。
短期解約するとその金額が没収されることになります。

ところで大きな悲劇は契約の更新時にやってきます。
日本レストランが多い界隈などは人気が高く、家賃相場が徐々に上がっています。

そのため契約更新時に極端な場合は、2倍近い家賃の増額を伝えられることもあります。
それに応じられなかったら契約更新をしないと言われることがあります。

また、大家さんの方で今の借主は高い家賃を払えないだろうと判断をすると
契約更新の前から新しい借主を探そうとすることもあります。

そのような事態になると人気店であっても撤退を余儀なくされることになります。
私もよく利用していたレストランが何件かこのような賃料のアップで撤退をしてしまいました。

おいしかった店がなくなるのはさみしいものです。
それ以上にレストランの経営者は苦渋の決断だったでしょう。

ホーチミン市の不動産は軍が持っていた不動産が多いです。
ベトナムは戦争をしていました。南と北に国がわかれていた時期があります。

戦争が終わって南の土地の中心部は軍が管理するようになりました。
戦争当時貢献した人たちが使用権をいただくことになったものもありました。

ベトナム戦争が終わってから20年位は経済成長も停滞していましたが
2000年を過ぎて外国投資が集まるようになると
大都市部の中心地にある不動産は高騰するようになりました。

そのため大家さんが家賃を大幅に上げることができるようになりました。
不動産を持っていればお金が入ってくることを実感したベトナム人は
不動産投資に高い関心を持っています。

どんどんできる分譲マンションの販売が始まるとすぐに完売するような状況が続いています。
このことからもベトナムは経済成長しているとみられています。
ただ、私には行き過ぎた不動産価格の高騰はバブル経済の発生など将来問題を生むと思います。

記事投稿 西田

アイクラフトJPN・ベトナム株式会社(英語表記:iCRAFT JPN VIETNAM Corp.)代表取締役 西田俊哉
高い技術力を持ち、安定・成熟した日本と発展途上であっても、若々しくエネルギーに満ち溢れたベトナム
この両国のそれぞれの力をコラボレーションすることが、両国の発展にとって意味のあるものになっていくものを考えております。
ベトナムの今を、現地の生の声としてお伝えしていきます。