アメリカの社会は自己責任の社会です。
ウィルス感染で見るとアメリカは非常に危険性が高い国です。
理由はアメリカに住む人の多くが無保険者であることです。

4000万人程度が医療保険に入っていないとの話があります。
低所得の人は保険料が高く加入できません。
オバマ前大統領が通称オバマケアと呼ばれる医療保険改革法を成立させて
この問題を解決しようとしました。

オバマケアの特徴は国民皆保険を実現しようとした取り組みで
次の3点を意図した改正でした。

1)公的医療保険がカバーする範囲を拡大する

2)民間の医療保険に対する規制を強める

3)医療保険に入ることを「義務化」する

 ところが前大統領の政策に批判的なトランプ大統領は、オバマケアを骨抜きにしました。
無保険者まで保険加入を進めると保険料が高くなり
既に保険に加入している人が負担増になるからです。

そのせいもあり、アメリカでは無保険人口が更に増加しつつあります。
アメリカでは医療費が非常に高いことでも有名です。
多くの人は多少体調が悪いときは薬で治そうとします。その事実を考えると
新型コロナウィルスに感染しても病院に行けない人が多数発生すると思われます。

また、アメリカは先進国で唯一、病気休暇を有給休暇とすることに国として義務付けていません。
病気休暇を有給として認めるかは企業の判断になります。
社内福利厚生制度の一環として有給を認める企業もありますが
特に低所得者の仕事は有給にはなりません。

アメリカのシンクタンクの経済政策研究所によると
民間企業では年平均8日の有給休暇が付与されているようですが
最低賃金の労働者で有給を取得できるのは30%程度と言います。

それ以外は病気で休暇を取った場合、欠勤控除されることになります。
労働者が1日欠勤するだけでも経済的な損失が多くなり
低所得者は休まない選択をせざるを得ません。

そのような病院にかかれない、休めない人がたくさんいるのです。
それに加えてアメリカでは不法移民者が1100万人程度いるのです。
その人たちも失業を恐れて休めなかったり、イミグレ当局との接触を恐れて
体調が悪くてもどこにも連絡しないことが想像できます。

経済大国のアメリカがパンデミックにもっとも弱点を持った国であるともいえます。
アメリカ経済が長期低迷すると1929年大恐慌と言われたリセッションに近い経済の停滞が
全世界に波及しないとも限りません。
先月はさすがにそこまでは考えていなかったのですが
感染の全世界的広がりを考えると大恐慌の可能性も否定できないと思うようになりました。

そうなると私が行っている事業も甘い見通しは立てられません。
日本からの出張者が急激に減少し、従来のように仕事を獲得できなくなり始めています。
長く続けば海外進出どころではない状況になります。
先月に予想した経済的影響以上の停滞が起こりそうな想定を視野に
入れなければならなくなってきました。

記事投稿 西田

アイクラフトJPN・ベトナム株式会社(英語表記:iCRAFT JPN VIETNAM Corp.)代表取締役 西田俊哉
高い技術力を持ち、安定・成熟した日本と発展途上であっても、若々しくエネルギーに満ち溢れたベトナム
この両国のそれぞれの力をコラボレーションすることが、両国の発展にとって意味のあるものになっていくものを考えております。
ベトナムの今を、現地の生の声としてお伝えしていきます。