新型コロナ対策でベトナム政府の対応が早いことを伝えました。
早ければすべていいかというとそういうわけでもありません。

ベトナムでは今までのところ感染者数は257名です(4月11日時点)。
死者の発表はありません。
それにもかかわらず対応は迅速であり、強烈でもあります。

学校は1月23日のテト休暇以降未だに再開されていません。
外国人の入国もストップしています。商店やレストランの営業も多くはストップしています。
衛生対策をとれない企業には営業停止の措置もとるようになっています。
タクシーやバスも運行停止をしていますので、バイクを使っていない私は
活動できる範囲が狭くなっています。
食事もレストランが空いてないので、自炊をするか、デリバリーを頼むか
テイクアウトして会社や自宅で食べるかの選択しかありません。

そのように営業を止めても休業補償という話はありません。
社会主義国の強みかどうかは知りませんが、民間の経済活動は民間の責任なのです。
ベトナム政府は支払いの猶予や金利の減免程度のことは金融機関に要請をしていますが
経済活動に対する配慮はほとんどありません。
徹底した措置を取りながら補償がないので、困窮している人たちがたくさん
存在していると思います。
感染拡大は抑えられていますが、経済的危機は水面下で進行しています。

一方で日本では、政府の対応が遅いと言われています。
日本政府は民間の経済活動にかなり気を使っていることがそうさせていると思います。
緊急事態宣言が4月7日に発令されましたが、かなり慎重に判断をしていたようです。
また、休業要請も理美容店をどうするかなどもめているのも
事業者への配慮があるからと思います。

飲食店も営業時間を当するかなどもなかなかはっきりしていませんでした。
ベトナムとは大違いです。
ベトナムでは前日発表されてすぐに営業停止になります。
仮に停止していない店があると公安(警察)が取り締まりに来て
罰金を取り営業停止にしてしまいます。
公権力がかなり強いです。マスクしていないで外出すると罰金
三人以上で集まって話をしていると罰金を取られるなどのことが起こっています。

日本の場合、強権的でないことはいいことだとは思います。
ただし、非常事態の対応は何を選択するかの決断が必要です。
何かを犠牲にしても決断しなければならないこともあります。
日本はそのような非常時に慣れていないこと
みんなの意見を聞いて決める社会であることが影響しているように思います。

平時はそれでもいいと思いますが、緊急時はトップが判断をせざるをえないのですが
そんな経験が少ないのが日本ではないかと思います。
平時に強い日本ですが、非常事態に力を発揮できるか、これからが正念場だと思います。

中国はこれも強制的に武漢を完全封鎖して感染拡大を止めようとしました。
一定の成果はあったものと思います。

韓国などは検査の量を増やして感染者を早期に隔離する措置を取りました。
アメリカはニューヨーク州をロックアウトするなどの対策を取りましたが
経済格差が大きい国なので病院に行けない人がたくさんあり
感染者や死者が急増しました。

リーマンショックは金融システムが傷んだことによる不況だったのですが
今回のコロナは相手がウィルスです。

ウィルスを封じ込める戦いをしなければなりませんが
徹底的に戦うと副作用で人間が死んでしまいます。
ここで人間が死んでしまうという意味は
ウィルス封じ込めのために外出や営業を自粛すると経済が死んでしまうという
比喩の意味を込めています。

記事投稿 西田

アイクラフトJPN・ベトナム株式会社(英語表記:iCRAFT JPN VIETNAM Corp.)代表取締役 西田俊哉
高い技術力を持ち、安定・成熟した日本と発展途上であっても、若々しくエネルギーに満ち溢れたベトナム
この両国のそれぞれの力をコラボレーションすることが、両国の発展にとって意味のあるものになっていくものを考えております。
ベトナムの今を、現地の生の声としてお伝えしていきます。