5Sも日常的によく聞くキーワードです。

5Sとは

 整理(Seiri)
整頓(Seiton)
清掃(Seisou)
清潔(Seiketsu )
躾(Shitsuke)

ローマ字表記した頭文字の5つのSから5Sと名付けられたのは、有名ですね。

この5SもまたKAIZENと同様に日本発祥ですが、どの企業発なのかは諸説あり、日本能率協会がトヨタの現場改善を支援した際に生まれた説が最有力ですが、定かではありません。

5Sの有効性は、異業種にも瞬く間に浸透し、今では各社で独自の進化を遂げています。中でも食品衛生の7S(5S+洗浄+殺菌)は有名どころです。

5S規格

5Sで意外と知られていないのは、JIS Z8141生産管理用語5603に規格化されていることです。そこには、以下の様に記されています。

① 整理とは、必要なものと不必要なものを区分し、不必要なものを片付けること。
② 整頓とは、必要なものを必要なときにすぐに使用できるように決められた場所に
準備しておくこと。
③ 清掃とは、必要なものについた異物を取り除くこと。
④ 清潔とは、整理・整頓・清掃が繰り返され、汚れのない状態を維持していること。
⑤ しつけ(躾)とは、決めたことを必ず守ることをいう。

上述の②に「必要なものを必要なときに」と記されていますが、トヨタ生産方式の
2本柱の一つ「ジャストインタイム」のフレーズの一部が使われているところからも
トヨタの現場発祥説を後押しています。(因みにもう一つの柱は「自働化」です。)

5Sの定義

5Sの定義についてJISの他にも経産省のHPには、以下の様に記されています。

① 「整理」とは「捨てること」で、業務に必要なものだけを残し、不要品を処分すること。
② 「整頓」をすることで、置き場所・置き方を決めて、ものを探すという無駄な行動を一掃する。
③ 「清掃」をすることで、必要なものをきれいな状態に保ち、いつでも使えるようにすること。
④ 「清潔」にすることで、必要なものがいつでも使える状態を常に維持する。
⑤ 「躾」により、決められたことを守り、習慣化する。

このJISと厚労省の5Sの表現に若干の差異はあるものの概ね同じ意味を示していることが分かります。

両方とも短いながら良くまとまった文章なので、饒舌なセミナー講師の解説を聞くのと同様に、この文を読んだだけで何となく理解できた感覚を覚えますが、いざ5S活動を開始してみると「こんなハズではなかった」という状況に漏れなく陥っています。

この状況を引き起こすことに影響度の高い要因は、5S活動という社内イベントが目的化してしまって、本来の目的を見失ってしまった結果です。

5S活動は手段であり、5S活動をする目的・目標を明確にすることが重要です。「目的」は「○○のために」であり、「目標」は「この活動により求める姿」、「目標と現状との差」が解消すると「5S活動の実施により期待する成果」の様に置き替えると分かりやすいですね。

5S活動により期待する短期的な成果には、「業務効率の向上」「過剰在庫の削減」「職場の快適性向上」です。

出典:㈱日本能率協会コンサルティング

中長期的な成果は、「改善のための土壌づくり」「企業の体質改善」「基礎体力の養成」です。

期待する成果ひとつ一つに管理指標を当てはめてPDCAを回せば、効果的・効率的な活動が期待できます。

以上で本日は、一旦失礼をして、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の解説は、 次週のお楽しみです。

記事投稿 甲斐善之助

前職は、半導体メーカーにて装置設計や工程設計を中心に仕事をして参りました。
南アジアでの工場運営を最後の仕事として退職に至り、その後は地元の中小企業の 問題解決に協働で取組む活動を開始して、ちょうど10年が経過しました。「生産性」、「付加価値」、「5S活動」など良く耳にして知っているハズだったけど…
「今さら聞けない○○シリーズ」を連載し、皆様のお役に立ちたいと思っていますので
どうぞご贔屓に!