
中国の経済成長期が日本に与えた影響
中国の「改革開放」の時期に日本はどうなっていったかを振り返ってみましょう。
世界第二位の経済大国と持ち上げられ、「JAPAN AS No.1」と世界から称賛された時代です。
時期は昭和から平成の時代に代わるころでした。
平成に入った瞬間にバブル経済が崩壊しました。
その時期に日本企業は人件費の安い国との価格競争に巻き込まれていきました。
それが韓国、中国です。特に影響力が強い人口大国中国の変化は、日本で定着していた終身雇用や年功序列といった秩序を破壊してしまう威力がありました。
団塊ジュニア世代
その時代に新卒期を迎えたのが団塊ジュニアと呼ばれる世代です。
その頃は「フリーター」と言われもてはやされた時期もありましたが、所詮は賃金カットと経済変動時の人員調整のために企業にとって都合の良い雇用形態として利用されました。
このことが日本の少子化にも拍車をかけています。
非正規社員では結婚して子供を育てるほどの収入を得ることができず、やむなく単身で生活をしているのです。
このような「非正規社員」として雇用された人たちが迎える老後問題にも大きな影を落としています。
アジアの経済成長の副産物として、団塊ジュニア世代が割を食っているのです。
8050問題
「8050問題」という言葉があります。
その意味は80代の親と50代の子の問題という意味です。
団塊の世代が80代になって、その子供が50代。
子供が非正規社員や引きこもりの場合、親の年金だけを頼りにして、親も子も疲弊していくことを問題にしている言葉です。
非正規のような雇用形態では、仕事に希望を持つことは難しいかもしれません。
非正規にしかなれなかった人たちの中には、挫折してひきこもる人たちも多数います。
そのような状態の人たちがどんどん年を取っていきます。
今回の原稿を書き始めたのは、ベトナムの介護事情を調べるテーマを仕事上与えられたからなのですが、意図もせず8050問題の典型のような事件が発生しました。
この5月に川崎市で起きた無差別殺人事件は、8050問題が深刻であることを表しています。
また、一般的に成功者とみられる元事務次官経験者が子供を殺害した事件も同様に衝撃でした。
世界史的な経済変動の時代にたまたま就職期を迎えて、日本経済や企業の存続のために利用された人たちがたくさんいます。
その人たちが悲惨な状況に置かれていることは、社会の問題として考えないわけにはならないと思います。
また、そのことは親の世代にもつらい負担を背負わされています。
ただ、私がうすうす感じるのは、非正規社員の子供を持つ親だけでなく、将来の高齢者は子供を助ける余裕もないことになるだろうということです。
将来の高齢者が引きこもりになり、社会問題を起こさないように努力する必要があると思います。

アイクラフトJPN・ベトナム株式会社(英語表記:iCRAFT JPN VIETNAM Corp.)
代表取締役 西田俊哉
高い技術力を持ち、安定・成熟した日本と発展途上であっても、若々しくエネルギーに満ち溢れたベトナム、この両国のそれぞれの力をコラボレーションすることが、両国の発展にとって意味のあるものになっていくものを考えております。ベトナムの今を、現地の生の声としてお伝えしていきます。