「地球温暖化は紛れもない事実」との主張はリベラル派あるいは左翼的な思想。
「地球温暖化は嘘だ、単なる気候変動だ」との主張は、保守派あるいは右翼的な思想だ
と一般的には思われるかもしれません。

ところがそれらの主張をする傾向がある人たちを経済活動に対する考えた他の違いとして
分類することもできます。

「グローバリズム資本主義」か、「反グローバリズム」かという違い

「グローバリズム資本主義」とは、地球を一つの経済圏と考える資本主義思想です。
その中心に位置づけられるのが、国家に左右されない民間の企業や国際的な金融機関です。

ICT技術の進歩でそのような考えが定着する基盤ができました。
企業がグローバルな市場をまるで植民地のように管理ができる経済になってきています。
グローバル経済で君臨できる企業は、最適な場所にサービスの拠点を置き
最適な場所で納税をしています。

極端に言えば、アメリカのIT企業のプラットフォームによって、日本はIT会社に
植民地化されているともいえる状況です。
これらの企業はサービスを提供している日本という地域に税を支払うのではなく
自分の都合の良いところで支払います。
多くはタックスヘイブンに本社を移動させるなどをします。

日本への利益の還元はなく、政府の重要な役割である所得の再配分が行われなくなります。
貧しい人を救うことができなくなります。

合わせてグローバル企業との競争にさらされる企業は、従業員の非正規社員化など
コスト削減を強いられます。
最終的に敗者は買収されて、グローバル企業に飲み込まれます。
その結果、日本でも貧富の格差が拡大すると同時に世界でも貧富の格差が拡大していきます。

企業活動においてグローバルで自由な活動を認めようとの考えに対して
「反グローバリズム」は、お金と主権をグローバル企業には渡さないとの考え方です。

グローバル経済の弊害を自国第一主義で守ろうとの考え方です。
グローバリズム資本主義の弱肉強食的な展開が、反グローバリズムを生んできた側面があります。

新興国が成長をはじめた今、以前のように欧米列強が植民地政策で富の採集をできなくなりつつあります。
新興国の安い製品や労働力によって、自国の収益が奪われるなら、それらを排除しても
自国民の利益守ることが一番大切だとの考え方です。

その思想的特徴は、国益を最優先、愛国心、自国の法律・文化・伝統重視、ナショナリズム
自国の中産階級・中小企業を支援といったところでしょうか。

それに対して、グローバリズム資本主義の考え方の特徴は、究極の資本主義
愛国心より博愛精神、国境にとらわれない活動、合理主義、環境保護に熱心というところでしょうか?
GAFAなどは環境問題にも熱心です。
技術の進歩や研究に熱心なものが将来利益を上げられる可能性があると考えます。
そのためにはお金が必要です。お金があればチャンスが広がり、新しい技術を生み出すことができるでしょう。

東西冷戦時代は資本主義は右翼的思想、社会主義は左翼的思想と思われていました。
ところが現代社会において環境問題一つをとってもそれを言うのは左翼的
反グローバリズムが右翼的という表面的な評価はできなくなりつつあります。

行き過ぎたグローバリズムとは、お金の力が支配の力になっている状態です。
お金のある企業が社会を支配しています。

それに対して反グローバリズムは、国家主権を強固にすることで、自国の利益を最優先にすることです。

いずれにせよ、どちらかを選ばないといけないとしたら、お金を持った企業に支配されるのか
権力を持った国家に支配されるのかの選択肢しかありません。

グローバル展開する企業、国家主義に進もうとしている従来の先進国、グローバル展開により
経済成長しようとする新興国のそれぞれの思惑がぶつかっています。

以前植民地を拡大していた先進国が自国第一主義になろうとし、新興国が逆にグローバル展開
を求めるという逆転した状況が表れています。

記事投稿 西田

アイクラフトJPN・ベトナム株式会社(英語表記:iCRAFT JPN VIETNAM Corp.)代表取締役 西田俊哉
高い技術力を持ち、安定・成熟した日本と発展途上であっても、若々しくエネルギーに満ち溢れたベトナム
この両国のそれぞれの力をコラボレーションすることが、両国の発展にとって意味のあるものになっていくものを考えております。
ベトナムの今を、現地の生の声としてお伝えしていきます。