“生産性”と“付加価値”の解説

日常的に使われているキーワードであり、「生産性が高い」とか「高付加価値」とか
両方ともに高いほど高評価となることは、周知の通りですね。

そして工場経営(売価、原価、利益)とどの様な関係があるのかが分かると
効果的・効率的な改善活動に展開が図られ易くなります。

厚労省のHPに掲載されている生産性と付加価値は、以下の通りです。

生産性 = 付加価値 ÷ 雇用保険の被保険者数
付加価値 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費 + 動産・不動産賃借料 + 租税公課

厚労省のHPより引用

よって、生産性を上げる要素は、工場拡大や生産設備を投資(償却費)または賃借(賃借料)することにより
少ない労働者(被保険者数)で売上を増した結果(売上-原価=利益)、賃金が上がり(人件費)
たくさん納税すること(租税公課)と深い関係があることが分かります。

但し、この様に八方良しの理想的な環境は、好景気の追い風の中で想像できても現在の様な
多品種少量生産を人手不足でやり繰りしている解決の手口が見え難い状況において
自社の業績と賃金の上昇を図る唯一の方策は、自社の営業活動に顕在潜在する損失を徹底して
減らすこと
が急務と言えます。(関連するキーワード:少人化・原価低減)

ここで言う損失とは、自社と顧客にとって特にならない科目の金額となります。

7つのムダがその代表例です。個々の解説は第6回投稿の5S「清掃」の付録に記しましたから
そちらをご覧ください。この中で見え易い損失は「不良をつくるムダ」ですね。

完成品として売上に寄与するハズの金額がゼロとなるばかりか材料の仕入れ先には代金を払う債務が残り
不良品が見つかった工程までに掛かった労務費も回収できません。

逆に見え難い損失は「在庫のムダ」です。出荷担当部門は在庫があれば顧客需要に柔軟に対応できる
頼もしい存在と信じ込んでいますし、経営者も在庫は資産であり期首より期末の在庫金額が減ると
会計上の利益も減る関係なので極端に減らしたくない意識がありますが、在庫の負担を貨幣価値に
換算した研究には、在庫金額の25%相当額が年間の管理費として消失していると記されていました。

これをあからさまに例にあげるのは憚られますが、借入金利や納税額も少ない方がありがたいですね。

以上、とりとめのない終わり方となり恐縮ですが今回はこの辺で失礼いたします。

記事投稿 甲斐善之助

前職は、半導体メーカーにて装置設計や工程設計を中心に仕事をして参りました。
南アジアでの工場運営を最後の仕事として退職に至り、その後は地元の中小企業の 問題解決に協働で取組む活動を開始して、ちょうど10年が経過しました。「生産性」、「付加価値」、「5S活動」など良く耳にして知っているハズだったけど…
「今さら聞けない○○シリーズ」を連載し、皆様のお役に立ちたいと思っていますので
どうぞご贔屓に!