ベトナムの経済事情について私は次の通り考えています。
ベトナムは社会主義政権ですので、比較的強権的な措置を取りやすいです。

資本家に気を使う政権ではありません。
国民の健康を守るという大義のために経済活動を犠牲にしても仕方がないという政策です。
営業停止を強いても政府補償をするわけではありません。

国の考えを国民に発するには社会主義の方がしやすいのだと思います。
そのお蔭でコロナ感染による死亡者は今のところ出ていませんし
感染者も300名には至っていません。

1億に近い人口を抱えている国としてはかなり健闘していると思います。
そのような成果もありますので、4月中旬からは経済活動も再開され
以前同様道路の渋滞も激しくなってきました。

それによりベトナムの経済がV字回復するかというとそう簡単ではありません。
今回のベトナム政府の取った措置で影響が大きかったのは
外国人の入国を停止していることです。

世界で感染拡大しているので、それは仕方がない政策であるとは思います。
しかしそれにより、観光、宿泊、飲食などの産業はほぼ壊滅状態になりました。
封鎖措置は緩和しましたが、外国人はいまだに入国できませんので
それらの産業は止まっていますし、外資の事業は急停止し始めています。

日本人駐在員の人事異動が発表されても
新しい担当者の入国ができないので今までの担当者が残っています。
人事異動さえできない状態です。

特にベトナム経済にとって重大なのは外国投資が急減することです。
外国投資をするのは企業です。外国企業のベトナム投資も慎重になるでしょう。
ベトナム経済は外国投資頼みのところがありますので
外国投資が増えないと経済停滞は継続します。

今回のパンデミックは世界全体に大きな影響を与えています。
日本もほかの先進国も産業の国内回帰する傾向が鮮明になると思います。
また、どの国も経済的に余裕をなくしているので自国第一主義に陥ります。

ベトナム人、ベトナム企業のビジネスの特徴は
外資企業に不動産を貸して利益を得たり、事業を仲介して利益を得たり
ベトナム企業を通さないと事業ができない仕組みにしたり
かなりパラサイトな事業で成り立っています。

外国人が少なくなるとピンハネできる仕事が急減します。
ビングループが車を作ったり、スマホを作るような事業も増えてきましたが
まだ経済は外資頼みです。

このようにベトナム経済は外国企業の投資がベトナムで行われることによって
経済発展が進み始めた国です。

先進国の経済が減速したことで、当然ベトナム経済も減速します。
新興国の経済は力のある先進国の経済や政治の事情で大きな影響を受けてしまいます。
外国投資が回復するまでには相当の時間を要するでしょうから
ベトナム経済の復活も簡単ではありません。

記事投稿 西田

アイクラフトJPN・ベトナム株式会社(英語表記:iCRAFT JPN VIETNAM Corp.)代表取締役 西田俊哉
高い技術力を持ち、安定・成熟した日本と発展途上であっても、若々しくエネルギーに満ち溢れたベトナム
この両国のそれぞれの力をコラボレーションすることが、両国の発展にとって意味のあるものになっていくものを考えております。
ベトナムの今を、現地の生の声としてお伝えしていきます。