
人材交流の負の側面
今までは日本とベトナムがそれぞれ信頼でき、それぞれの関係性がよくなっていることを伝えました。しかし、よい関係性が損なわれようとしている負の側面についても触れてみましょう。
日本が高齢社会になり労働力が減少する中で、国民の平均年齢が30歳程度と若いベトナムから実質の労働者を得ることが多くなりました。
人が集まらない建設や農業の分野へもたくさんのベトナム人が日本で活躍するようになりました。
ますます関係が深くなるベトナムと日本ですが、その関係をむしばみ始めているのが技能実習生の失踪と偽装留学生の増加です。
日本人の方々にはあまり知られていないかもしれませんが、水面下ではかなり問題が蓄積しています。
コンビニ、ホテル、居酒屋などの労働者は外国人でいっぱいです。
留学生の在留資格について
これは留学生に与えられる在留資格のうちで資格外活動(週28時間以内のアルバイト可)として認められている人です。
偽装留学生と書いたのは、アルバイトの目的で実際は留学が主な目的ではないこと、また資格を取得するために虚偽記載が公然と行われていることが理由です。
技能実習生は3年間同じ企業、同じ仕事につかなければなりませんが、留学生は自由に仕事が選べます。
そのため留学生として日本にわたる人が増えています。
留学生の実態
留学生たちは、多額の借金をして日本に渡ります。
日本語学校に支払う学費や寮費、留学ブローカーへの手数料など150万円程度も支払って日本に渡っています。
親や親族からお金を借りるケース、銀行や金融業者からお金を借りるケースもあります。
日本に行くと150万なんで簡単に返済できると甘い言葉でそそのかされるのが田舎に住む若者たちです。
ハノイやホーチミンに出て働こうと考えていた若者が、日本に行った方がもっと稼げると考えるのです。
実際、150万円も返済するのは簡単ではありません。
そんな金額を払って週28時間では借金を返済できないので、違法にアルバイトを掛け持ちするケースもあるようです。
本来「留学ビザ」は、アルバイトなしに日本に留学できる財力を持った人に認められるビザなのですが、現実にそうでない人がたくさんビザを取得しています。
留学希望者がビザを申請するときには、親の年収や預金残高が記された書類を法務省入国管理局に提出します。
しかし、この書類は留学生を送り出すブローカーが行政機関や銀行に賄賂を払って、事実でない数字を認めてもらっている実態があります。
そのような偽装留学生が日本でアルバイトをしているのです。
ブローカーや日本語学校に多額のお金を支払って日本へ渡っているベトナム人は、低賃金、重労働の日本での労働をしても借金返済に追われ続けているのです。
彼らが得られる仕事は、コンビニやスーパーで売られる弁当や総菜の製造工場、宅配便の仕分け、ホテルの掃除など人出不足が深刻な深夜の重労働が多いようです。
